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[研究紹介]社会的コミュニケーションを改善する音楽訓練は、自閉症治療に繋がる未来があるかもしれない

posted 2018/11/27

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音楽は自閉症治療の一手段になるか?

音楽を練習することで脳神経の構造や活動が変化することが分かってきている。
この脳構造効果は非定型発達のような――例えば、自閉症の治療にも役立てられるのだろうか? 最新の研究を見てみよう。

自閉症の子供が音楽の練習をすることによる社会的コミュニケーションと脳機能の機能的結合の変化を調査した研究

この研究では、6〜12歳の自閉症の子供51名をランダムに音楽練習群(26名)と練習しない群(25名)に割り当てて実験している。

  •  音楽の練習群では、楽器、歌、リズムを通した即興的なアプローチで練習をした。この練習は、社会的コミュニケーションと会話の交代の仕方の向上、感覚運動の統合を目的としたものである。
  •  練習しない群では、構造的には音楽の練習群と同じ行動トレーニングを、音楽を使わないやり方で行った。

それぞれの群は、8〜12週間の練習を行った。

音楽の練習により社会的コミュニケーション能力は向上したか?

実験の前と後とで、以下の変化を計測した。

  •  実際的なコミュニケーション能力を測定するCCC-2
  •  自閉症の度合いを測定するSRS-II
  •  理解可能な語彙を計測するPPVT-4
  •  家族による評価を計測するFQoL
  •  行動を評価するVABSのうちの不適切な行動

音楽の練習群において、練習後にCCC-2で計測したコミュニケーションの成績と、家族によるFQoLの評価が有意に高まった。

音楽の練習による社会的コミュニケーション能力の向上は、脳の変化と関係しているのか?

実験の前と後とで、fMRIを用いた安息時の前頭葉と側頭葉との機能的結合も計測しており、コミュニケーションの成績との関係性が分析された。

  • 音楽を練習した群は、しなかった群と比較し、安息時の機能的結合が聴覚野とstriatumとの間、および聴覚野と運動野との間で強まっていた。
  • 音楽を練習した群では聴覚野と視覚野との結合が低くなっていた。自閉症ではこの結合が過度に強まっていることが知られている。

脳活動の変化とコミュニケーション能力の関係性を分析すると、下記の2点が分かった。

  •  左のHeschl’s gyrusと、視床およびstriatumとの機能的結合の強さと、CCC-2の成績の向上度合いが相関していた。
  •  右のHeschl’s gyrusと視覚野の機能的結合の強さと、CCC-2の成績の向上度合いが逆相関していた。

音楽の練習をすることが自閉症治療の一手段になるかもしれない

この研究では、8〜12週間の音楽の練習をすることで、機能的結合を変化させ、それが社会的コミュニケーションの改善につながる可能性を初めて示した。
このような調査が進められることで、自閉症の子供や家族の支援につながることを期待する。

References
Megha Sharda et al., Music improves social communication and auditory–motor connectivity in children with autism. Translational Psychiatryvolume 8, Article number: 231 (2018)

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